もったいない精神のアイデア絵本「ヨセフのだいじなコート」をレビュー
穴があいたコラージュ絵本
この本はアメリカ生まれで作家やグラフィックアーティストとして活躍していたシムズタバックによって描かれた絵本です。
水彩絵の具、グワッシュ、色鉛筆、インク、コラージュと様々な手法で描かれたこの絵本はカラフルで見ていて楽しい絵本です。絵本には穴があいていて、切り抜かれた形が、ヨセフのコートの移り変わりを見事に表現しています。は
コートが最後には〇〇に
ヨセフはつぎはぎだらけのコートを持っていました。そこでヨセフはコートをジャケットに仕立て直します。いつしかジャケットも古くなってきて次はチョッキに、次は何になるでしょう…? 最後には小さなボタンになってしまいます。
ヨセフのもったいない精神
ヨセフのコートは、最後にボタンになるまで使われ続けられました。これはヨセフのものを大切にする心が生み出した結末です。
江戸時代、日本はリサイクル社会でした。鎖国をしていて燃料の輸入が無い中で、国内のみの物質収支でまかなって約250年の間を過ごした持続可能な社会でした。
それも昔の話。ヨセフのもったいない精神は今の日本に失われつつあるものなのではないのでしょうか。
次は何に変身するかを考えて楽しむ
ヨセフが身につけている衣装が古くなって、次は何になるかをクイズしながら読み聞かせをするのも楽しいと思います。
現代のありふれたモノ達
この絵本は様々な表現の技法を使っていて、ごちゃごちゃしています。この絵のごちゃごちゃは現代社会のありふれたものを彷彿とさせます。
ヨセフのコートは周りの派手な装飾に比べて地味です。これは、有り触れた沢山のものがある中でも、ものを大切にしているもったいない精神を表現しているのではないでしょうか。
リメイクして再び使うよりも壊れたり、古くなったりしたら新しく買う方が、安くて手間もかからない世の中です。そん中でこの絵本では、ものを大切にすることがいかに素敵なことであるかが表現されています。
レジ袋の有料化やプラスチック製のストローの廃止と紙ストローの導入などで、身近にエコ気運が高まっている今だからこそ読むべき一冊です。
エコ活動と購買活動を考えよう
この本が伝えたい子どもへのメッセージは、ものを大切にしようということ。ものに名前を書くことを身につけることや丁寧にものを扱うことから始めてみるといいかもしれませんね。
大人へのメッセージは有り触れ過ぎたモノの中で暮らす現代社会の中で購買活動とエコ活動について一人ひとり考えることだと思いました。
- 作者: シムズタバック,Simms Taback,木坂涼
- 出版社/メーカー: フレーベル館
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: 大型本
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